音楽に関係する仕事
弁護士 東 敦子
2025年3月執筆
音楽に関係する仕事と聞いて、思い浮かぶのは何でしょうか。アーティスト、演奏者、バンド・・。個人事業主である弁護士と同じく、雇用契約に基づく賃金を得るという労働ではなく、個別の契約に基づいて報酬を得る方も多いことと思います。
ただ、労働者ではないとい位置づけにされるにも関わらず、やりがい搾取や無制限の「労働時間」を課せられ、挙句には十分な対価を得られないリスクもあります。そのため、文化芸術分野における契約や活動に関係して生じる問題やトラブル、「文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドライン」等が文化庁のホームページに掲載されています。
契約上の課題として次のものが記載されています。
○関係者間の信頼関係や従来の慣習等により、口頭による契約が多い
○分野、職種、案件により、業務内容や契約期間が異なるなど契約が多様 であり、契約書作成に係る事務負担が大きい
○業務内容が創作過程で変わることもあるため、契約時に業務内容や業務量を正確に見積もることが困難
○契約書があっても一方的な内容であれば、芸術家等が不利益を被ったり、トラブルに発展したりする
この記載内容は他業種にも応用できるものもあり、総じて「やりがい搾取」をいかに抑止するのかという観点からも役立つものと思われます。また、契約書の作成が望ましいといっても、専門的な内容や文書そのものにすることが難しい、文書作成を専門家に依頼した場合の費用など悩みもあります。文化庁のホームページには契約書のひな形や解説なども掲載されていますので、関連する仕事の方々には応用できるのではないでしょうか。
私たちが普段目にするアーティストやその関係の仕事の方々は華やかで、広い会場を聴衆で満員にして、想像もつかないような収入が得られるイメージですが、そのような音楽家は一部であり、音楽家など芸術分野、文化を担う人たちの多くがやりがい搾取にあっている、あいかねないという現実も直視して、私は聴衆としても、法律家としても文化の発展に寄与していきたいと考えています。