やっぱり団結権

弁護士 横光 幸雄
2025年7月執筆

はじめに
「なぜ労働組合に加入しなければダメなんですか?」「組合費の3000円を払うくらいなら、そのお金で私の好きなものを買いたい」との声はよく聞かれる。基本的な発想は「個人」の「自己決定権」であり、組織に加入し、組織の規律に従うことへの嫌悪感である。

労働契約
しかし会社に就職すること自体が組織に加入することであり、労働契約は使用者と労働者との個別契約であるが、これとは別に会社の就業規則が社内を規律している。
また、個人の労働契約がバラバラで契約内容に格差が生じていることがわかった場合、これを個人の自己決定として容認、泣き寝入りすることができるであろうか。
近年このような格差是正も含め「働き方改革」の提言がなされた。①同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善②賃金引き上げと労働生産性の向上③時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正④雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定させない教育の問題⑤テレワーク・副業・兼業などの柔軟な働き方⑥働き方に中立的な社会保障制度、税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備⑦高齢者の就業促進⑧病気の治療や子育て、介護と仕事の両立⑨外国人材の受け入れ問題 などである。
このような項目を個人が会社と個別に話し合って決めていくことは不可能に近い。労働者個人ではなく、労働者集団と会社との話し合い、協議が必要不可欠である。
例えば同一労働同一賃金を実現するためには、非正規雇用の組合加入を認め、組合が多様な労働者を代表して協議・交渉することが必要不可欠である。派遣労働者についても同様であることは言うまでもない。
賃金引き上げ、時間外労働などの問題も個人と会社との個別交渉で成立させることなど非現実的であり、特に時間外労働については何が時間外に該当するかは職場ごとに決められるべきもので個人ごとに決まるものではない性質のものであるから労働者集団と会社との集団的な合意形成が求められる。

就業規則
労働契約は個人と会社との合意であるのに対し、就業規則は会社側の一方的な規則である。
現実の労働条件の多くは、就業規則によって決められる。しかし、労働者がこれに同意して入社した訳ではないのでこれを適用する場面では規定内容の説明・説得・周知の有無などを基準に適用の可否を判断することになる。
労働組合が就業規則にどのように関与すべきかについては様々な議論があるが、この作成変更は労働条件に直結するので意見聴取レベルではなく、変更問題を「労働条件変更」として義務的団交をすべきである。

労働協約
就業規則の変更問題を労働条件の変更として義務的団交事項とすれば、少数組合にも団交権が認められる。また労使間合意に達したならば労働協約を締結する。労働協約は就業規則に優先する(労働契約法一三条)。さらに個別交渉禁止や労働条件の一方的変更禁止の法理が適用され全労働者に規範の効力が及ぶことになるのである。
個別の労働契約も大事であるが労働協約の力は絶大である。やっぱり団結権なのである。

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