僕の頭が禿げたわけ

弁護士は基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命としています。
僕は人々の悩みを聞くうちに、個人の力だけではどうにもならぬことがあまりにも多いことを知りました。
だから僕は弁護士の使命を果たすために、様々な社会活動に参加せざるを得ません。
自然に夜の会議や集会がつづきます。新婚生活も毎日のように帰宅が遅くなりました。
「今日は何で遅いの」
「今日は北九州市の労働組合の打ち合せ」
「それお金になるの」
「そうね、あまりお金にならないね」
「お金にならないならやめとき。早く帰ってきて二人で楽しく暮らせばいいじゃないの」
「僕も早く帰ってきたいけど、仕事だからね」
「どうしてそんな仕事するの。お金にならないならやめたらいいのよ」
「そうは言っても誰かがやらなければ」
「あなたがしなくてもいいじゃないの」
「そうかも知れないが、僕は自分の人生をそう決めたから」
「あなたが決めるのは自由ですが、私はどうなるの。早く帰ってきてと言ってるじゃないの」
僕は妥協しない。腹を立てたこんちゃんは、また僕を叩く。
こんちゃんに会うまで、僕は人に叩かれたこともないかわりに、叩いたこともありませんでした。
こんちゃんからどんなに叩かれてもたたき返すことができません。
叩かれると痛いので僕は必死にこんちゃんの手を押さえました。
それでもこんちゃんが叩こうとするので、足払いをかけて押さえつける。馬乗りになって両手を押さえつける。
すると今度はこんちゃんは下から僕の顔につばをかけてくる。どうにもならずに僕はこんちゃんに頭突きをかけました。
頭突きはこんちゃんも痛いが僕も痛い。
僕は背は低いし体も小さい。しかし、なぜか頭の大きさだけは人並である。僕の強烈な頭突きに、さしものこんちゃんも音をあげた。
「おい、大丈夫か」
と声をかけると、再び下からパシーと頬を叩かれました。負けるかとまた頭突きを食わせる。
僕の頭が禿げ上がったのは、実はこの喧嘩のためなのです。