再婚後に生まれた子は前夫の子になる?戸籍の扱いと対処法
弁護士 田邊 匡彦
2024年7月執筆
2023 年3月1日に前夫と離婚した後同年6月10 日に現在の夫と再婚し、同年9月30日に子供が生まれました。この子の生物学上の父親は現在の夫ですが、役所に届け出ると前の夫の嫡出子とされるということで、まだ、戸籍の届け出をしていませんでした。
この子の父親を現在の夫の子として戸籍に載せることはできますか?
1. 嫡出推定制度の改正
戸籍上前夫の子とされることを避ける等の理由で子供の出生届を出さなかったため、無戸籍者となる子が生じる問題の解消を目指して嫡出推定制度が改正され、2024年4月1日から施行されました。
2. 嫡出推定規定の見直し
改正前は、婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定し、婚姻後200日以降並びに離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定されていました。その関係で、女性は離婚後100日間再婚できませんでした。
今回の改正で、女性の再婚禁止期間は廃止され、婚姻後200日以内に生まれた子及び離婚後300日以内に生まれた子でもその間に母が再婚した場合は再婚後の夫の子と推定するとされました。つまり、再婚した後に生まれた子は再婚後の夫の子として戸籍に載るようになりました。
3. 嫡出否認制度の見直し
これまで夫のみに認められていた嫡出否認権を子及び母にも認めることとされました。
また、適切な判断をする機会を広く確保する趣旨で嫡出否認の訴えを提起できる期間が1年から原則3年に伸長されました。これまでは夫しか訴え提起できなかったことが理由で出生届を出さないことがあったため、子や母の判断で嫡出否認の訴えを提訴できるようにしたものです。なお、子は一定の要件を満たした場合は例外的に21歳に達するまでに提起できる場合があります。
4. 本問の場合、母は嫡出否認の訴えを提起できるか?
できます。ただし、期限があります。
今回の改正法は施行日以降に生まれた子に適用され、それ以前に生まれた子には、改正前の規定が適用されますが、2024年4月1日から1年間に限り、その前に生まれた子や母も嫡出否認の訴えを提起できるとされました。
つまり、女性の再婚禁止期間や嫡出推定規定の遡及適用はできませんが、改正前に生まれた子についてであっても、前夫が提起しなくても、母や子(母親が親権者)は自ら嫡出否認の訴えを提起して、勝訴することで子を現在の夫の嫡出子として戸籍に載せることができることになりました。
ただし、長い間親子関係を不安定にしておくことは望まくありませんので、1年間という期間制限が付された関係で、2025年3月31日までに嫡出否認の訴えを提起する必要がありますので、注意が必要です。
5. 認知無効の訴えの改正も同時に施行
なお、血縁関係がないことを理由とした認知無効の訴えを提起できる者が、子、認知をした者(父)、母に限定され、所定の時点から原則7年間に限定されています。これまでは子又は利害関係人が提起できるとされ、期間制限がなかったものを改めました。父母等が認知を有効とする意思があっても、それを無視して利害関係人がいつまでも提起できることは相当でないとの考えに基づいています。