先物取引(三)

すでに述べたように先物取引では100万円の委託証拠金を出せば1000万円の商品の取引ができる。そこでこの商品が10%上下すると証拠金がふっとび5%で業者から追加の証拠金を請求される。この追証を払わなければ業者より強制的に商品の売買の決済をさせられてしまう。
そこで業者はAさんより100万円の委託証拠金を預かれば、Aさんより注文を受けた1000万円の商品の買い注文を入れたと同じに、1000万円の「売り」の注文を入れる。これを「向い玉」という。
客が勝っている間はわずかな利益金を渡し「儲るからもっと出して下さい」と新規の資金を次々に出させ、「やめたい」と言ってもなだめたり、おどかしたり、すかしたり、嘘をついたりして決して取引をやめない。顧客が勝っている間は業者は損をしていることになるが、同数の売りと買いの注文をしているので追証が業者にかかることはない。
要するに、客が勝っても負けても、うまいことを言って金を引き出せるだけ引き出して取引を続けさせる。相場は上がるか下がるか二者択一であり、証拠金全額を使って取引を繰返せばいつかは客が負ける。客の予想に反して5%相場が動けば追証がかかり、10%動けば全額委託証拠金はなくなる。業者の方はすでに述べたように10%動こうが20%動こうが追証を取られることもなくいつまでも取引をつづけられるが、客は5%相場が動けば追証がかかり取引を継続できない。顧客はいつか資金が尽きて勝負は終る。業者は勝つまで取引を続けるから勝つのである。
またマージャンの話であるが、吉野弁護士はマージャンが強かった。彼は負けることを知らなかった。なぜなら彼は勝つまでマージャンを続けたからである。
おかげで私は何度こんちゃんから家を締め出されたことか。
「私はマージャンをしたらいかんといいよるんやないよ。やる以上は勝ちなさいと言いよると。あなた、吉野先生とマージャンして勝ったことある? 初めから負けるのがわかっとるとに何でするとね。する以上は下手な人として必ず勝ってきなさい」。