ひょうきん弁護士2 №31 東京製鐵 過労死事件 5

竹下医師の反対尋間
この裁判は医師との闘いでもあった。
労災が不支給となったのは、九州労災病院健康診断センター所長竹下司恭医師が本件は労災ではないという鑑定書を書いたからである。労災病院の医師も産業医科大学の医師も私が知っている限り、労災を不支給にする鑑定書しか書かない。私にとってはいつも敵である。
私「あなたは本件事故の現場に行ったことはないですね」
竹下「はい」
私「あなたは労働基準監督署が提出した資料だけを見て鑑定書を書いたのですか」
竹下「はい」
私「すると、労働基準監督署があなたに提出した資料が間違っていれば、この鑑定書の結論が異なることはありますね」
竹下「・・・・・ありますね」
私「ところで、この作業現場ですが、亡くなった人の奥さんの話だと、暑くて作業をしている時は下着まで汗で濡れて、休息時間に乾かしては作業を続けるという状況だったということですが、暑くて汗をかくような職場だったのではないですか」
竹下「私はそんな劣悪な環境だったとは思いません」
私「私達は裁判長と現場検証に行って見て回るだけで汗をかくような職場だったことを確認しているのですが、汗をかくような劣悪な職場環境だったとしたら、この鑑定書の結論は異なるのではないですか」
竹下「・・・・」
彼は現場に行っていなかった。机の上で会社の提出した資料だけを見て鑑定書を書いたのである。
この尋間で竹下医師の鑑定書が間違っていることははっきりした。
しかしながら、相手方の根拠を崩しただけでは過労死と認定させることはできない。どうしても本件が過労死であるという医師の意見書が必要である。米の山病院附属中央診療所所長の橋口俊則医師が「被災者の発症は発病前の過重な業務が原因である」という意見書を書いてくれた。
平成8年9月25日、私は一審で勝訴した。

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