ひょうきん弁護士2 №73 芦屋スパイ事件 控訴審①

福岡県は控訴した。

一審で勝訴した場合、控訴審では証拠調べにはいらず、すぐに結審、判決言い渡しという図式がよい。

芦屋派出所スパイ強要事件の一審判決は、真実と道理に基づく事実認定によっていた。

私達の反対尋問の成果である。判決は、芦屋派出所での川上氏への警備警察のスパイ工作を認めていた。従って、控訴審ではよほどの反共思想を持った裁判官でない限り、勝訴できると私達は確信していた。普通の裁判官であれば、この一審判決が覆ることはないと考えた。一審では警備課長を8回にわたってくどく・しつこく・いやらしく尋問をした。 一審勝利した今、私達は上げ潮である。証拠調べをせずに一日も早く結審させることが私達の戦略だった。
警備警察は、控訴審で従来の主張に加えて新しい主張をしてきた。それは、川上氏が事件直後に書いたいわゆる「川上メモ」は信用できないというものだった。「高卒で漁師の川上氏が、わずか3時間でこのような詳細なメモが書けるはずがない。しかも、川上メモでは旧漢字や旧かなづかいがなされているから、戦前の教育を受けた人物がメモを書き、川上氏がこれを書き写したもの だ」という主張である。

そのための証拠として、修猷館高校の元教師が「こんな旧漢字や旧かなづかいは戦後教育を受けた人間は使用しない」という鑑定書を提出した。私達は人の学歴を云々するなら、元高校教師ごときに艦定書を書く資格はないと反論した。

すると相手方は、福岡大学教授と中村学園大学教授の意見書を出し、さらに裁判所に川上メモの原文を川上氏が書いたのかどうかの鑑定申請をした。

私達は、こんな鑑定は不可能だと主張した。私達は、松本清張は小学校出の給仕であり、学歴や職業では文書作成能力は計れないこと、川上氏は民主青年同盟八幡遠賀地区副委員長であり、毎日文章を書いて作文には慣れていたこと、又、鑑定人がいう旧漢字や旧かなづかいは鑑定人能力のなさを証明しており、これらの字はいずれもが旧漢字でも旧かなづかいでもないことを証明した。

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