ひょうきん弁護士2 №148 第二章 闘う弁護士 谷市長事件 (四)

私は続けて裁判長を糾す。

「検察官は公益の代表者である。被告人にとって不利な証言も有利な証言も、すべて集めたものは弁護人に開示すべきである。あの松川事件では検察官が被告人のアリバイを証明する諏訪メモを隠していたため、死刑の判決を受けてしまった。またそのために無罪を証明するのに長い時間がかかった。こんなことがないように、少なくとも谷証人の供述調書と、この事件のときに近くにいた証人の供述調書を弁護人に開示してもらいたい」

裁判長 「検察官、どうですか」

検察官 「開示するつもりはありません」

私 「真実を発見するのが裁判所の義務です。検察官が隠している供述調書の中に、被告人の無罪を証明するものがあるかも知れません。検察官の態度はきわめて不当ですから、直ちに開示命令を出してください」

谷市長 「裁判長、発言してもよろしいですか」

裁判長 「どうぞ」

谷市長 「私は多忙な中を時間の都合をつけて本日証言するために出廷している。弁護士と検事の論争は私の証言が終ってからにして頂きたい」

私 「裁判長、なぜ谷証人の発言を許可するのですか。私は今、谷証人の尋問に入る前提として、谷証人や側近の供述調書の開示をして欲しいと要求している。人の話の途中で証人に発言させるのはやめて欲しい。検察官に尋ねますが、谷証人の供述調書はあるでしょうね」

検察官 「あるかないかも答えられない」

前野宗俊弁護士 「今の検察官の発言は裁判を愚弄するものである。なぜ本件裁判だけ特別の扱いをするのですか。普通の裁判では供述調書を開示するのに本件だけ隠して出さないというのは、何か検察官にとって不利なものがあるからに外ならない。検察庁法第四条には『検察官は裁判所に法の正当な適用を請求し』と書いてある。正当な適用を請求する法的義務がある。検察官の本件訴訟での態度は明らかに法違反である」

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