ひょうきん弁護士2 №17 弁護士30年の表彰を受けて(2001年事務所だよりから) その2

その裁判の立替金が100万円を超えた時、所長代理の吉野弁護士が言った。

「この赤字をどうするのか」

「どうするって、仕方がないじゃないですか」

「原告からお金がもらえないという、お前の気持ちもわかる。しかし、支援の人にカンパ活動をしてもらって運動資金と裁判費用は集めるべきではないか。交通費は別にして、印紙代までうちの事務所で立替るのは間違いじゃないか。」

「そんなことは、わかっています。しかし、支援団体にもその力はないのです。」

吉野弁護士もそれ以上は言わなかつた。やがて、マスコミが同和団体幹部の土地転がしを報道し、北九州市も同和行政を変更した。私の裁判は全て和解し、裁判費用は勿論、弁護費用も貰えることができた。

その内に、労働組合はストライキをしなくなり、労働者は闘わなくなり、労働事件は少なくなった。カネミ油症事件も終結を迎えた。こうして、北九州第一法律事務所にとって不採算部門がなくなった。そうして「流した汗がそれなりに報われる事務所」となった。

10年経った時に、私は田邊匡彦弁護士と一緒に黒崎合同法律事務所を設立した。北九州市は五市が合併してできた市であり、黒崎は小倉とは別の経済、地域的にも独立していた。

ここは、弁護士が一人もいないので、地域に根ざした法律事務所をつくろうと考えた。

黒崎合同法律事務所をつくってからもう20年。横光幸雄弁護士が加わり去年4月からは東敦子弁護士が入所した。安川電機の思想・男女の賃金差別事件、福岡県警を相手にした芦屋派出所スパイ強要事件、東京製鉄の過労死労災認定事件、新日鉄の出向、配転(単身赴任)事件など、多くの困難な事件も担当した。

弁護士は依頼がなければ仕事にならない。この事務所には様々な人達が、様々な事件を持ち込み、充実した日々だった。これからも働ける限り、仕事に追われる日々が続く。

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