こんちゃんと僕

平和な日々が続いています。日曜日、僕は八時に起きます。居間と台所の暖房を入れ、掃除機で部屋の掃除をします。僕のこんな姿を見ると母が嘆くだろうなと思います。

「あれほど大切に育てて、箸より重いものは持たせなかったのに」と。

でも僕の母は僕の育て方を誤っていたのです。母にあまりに大事に育てられたために、僕は働くことがまったく嫌いな怠け者になりました。また、母の庇護の下に育ったために争ったこともなかったのです。

こんちゃんは僕を「言うて分からん人には叩いて教える」と厳しいスパルタ教育をしました。

その甲斐あって僕はよく働くようになったし、闘う弁護士に成長したのです。

いまでは僕の母はこんちゃんだけと思うようになりました。

こんちゃんはとても寒がりです。掃除が終わり、部屋が暖かくなったとき、僕はこんちゃんを呼びます。「こんちゃん、部屋も暖かくなったし、味噌汁も冷えるよ。早く起きておいで」。

追 記

私が「こんちゃんと僕」の執筆を始めると「安部先生は優しい人だ」という声はひとつもなくて「安部先生は自虐症だ」とか「マゾだ」「変態だ」「弁護士の品位を辱める」という誹謗、中傷ばかり耳に入ってきました。

それでも私は私の「小説」を必ず喜んでくれる読者がいるはずだと信じて今日まで書き続けてきました。

何人かの読者から「あれは本当ですか」という問い合わせがありました。私は「もちろん、小説ですよ」と答えてきましたが、相手は疑わしそうな目をするのです。

私の日頃の行動から疑惑が疑惑を呼ぶのです。

この際私と私の妻の名誉のためにあえて言いますが、これは「こんちゃんと僕」というフィクションなのです。よく考えてみてください。頭突きで私の頭が禿げるわけはないでしょう。疑う人は私の自宅に来て見てください。美人で心優しい私の妻があなたを暖かく迎えるでしょう。

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