飲酒運転で検挙された場合懲戒解雇となるのか?

弁護士 田邊 匡彦
2026年1月執筆

1 昨年12月19日に福岡地裁は、福岡市消防局係長だった男性に対する懲戒免職処分を取消す判決を言い渡しました。非番である2023年10月20日午前11時過ぎに乗用車を運転中に警察に呼び止められ、基準を超える呼気1ℓ中0.2㎎のアルコールを検出された事案であり、前日11時まで焼酎の緑茶割を込んだが翌朝にはアルコールが残っている認識はなかったとされています。福岡市は一週間後の同月27日に男性を懲戒免職処分にしましたが、その後不起訴処分とされました。福岡市の指針は「飲酒運転は免職とし特段の事情があれば停職」と規定されていました。同判決では「動機、結果等の要素を十分考慮することなく拙速、短絡的に行われた」ことが処分取消の理由とされました。

2 飲酒運転が厳罰化されたこともあり、公務員では飲酒運転をすると原則懲戒解雇となってきている中での判決でありニュースになりましたが、飲酒運転に対する厳しい対応は民間でも広がり、裁判所も懲戒解雇を有効とする傾向にあります。

3 懲戒解雇が認められるためには、就業規則に懲戒規定があること、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であること(労働契約法16条)が必要です。

飲酒運転を理由とする懲戒解雇が有効か否かを判断するためには、勤務時間内か否か、飲酒の程度(酒気帯び運転か酒酔い運転か)、会社の業種(運送関連業務か否か)、当該従業員の業務内容(運転業務か否か)、物損事故を起こしたか、ニュース報道されたか否か、過去の懲戒歴等を勘案して判断することになります。

4 しかし、営業業務で社用車に乗っていたが業務終了後に社用車で友人宅に行き、飲酒した後運転したことを理由に懲戒解雇された事案では、就業時間外、酒気帯び、運送関連業種ではなく、運転業務に従事しておらず、物損事故を起こしておらず、過去に懲戒処分を受けたことがなくても「昨今の飲酒運転に対する社会的非難の高さなどに照らせば」懲戒解雇は有効と判断されています(大阪地判令和7年9月26日判決:静岡鉄工所事件)。

勤務時間外であっても、飲酒運転すれば懲戒解雇される危険性があることを肝に銘じるべきでしょう。

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