不当労働行為 その㈠

弁護士 横光 幸雄
2026年2月執筆

1. はじめに

労働者の団結権を保障するために、不当労働行為制度があります。労働組合法七条は、一号で差別待遇、二号で団交拒否、三号で支配介入、四号で労働員会等での労働者の行為を理由とする差別待遇を列挙し、使用者がかかる行為をすることを禁じています。

2. 差別待遇(一号)とは

  1. 使用者は①労働者が労働組合の組合員であること②労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと③労働組合の正当な活動をしたことのいずれかの故をもって不利益な取扱いをしてはならないと規定されています。
    労働者が組合活動した事実が存在した場合に、これを理由に使用者が差別行為をすることはできないということです。
  2. 労働者が組合員であることとは
    組合員については、産業別・職種別・企業別などいかなる種類の組合員であるかを問わず、また加入・結成しようとする労働組合にあっても同様です。
  3. 労働組合の正当な行為とは
    労働組合の行為である、労働組合の会議、集会への出席、発言、決議参加、組合相互の連絡、宣伝活動をはじめ、団体交渉、争議行為への参加など労働組合の組合員としてのすべての行為が含まれます。個人の自発的活動も客観的にみて組合目的実現のために組合員として行うのが当然と判断すべき行為はもちろん含まれます。
    また「労働組合の行為」である以上、労働組合の本来の目的以外の政治的目的のためになされる活動であってもこれに含まれると解されます。
  4. 不利益な取扱いとは
    単に経済上の不利益のみならず労働者に仕事を与えないとか口をきかないなどの精神的不利益、共働き夫婦の一方を地方に転勤させるなどの生活上の不利益など全てを含みます。その最たるものは解雇ですが、配転、転勤、出向、出勤停止、休職などもこれに準ずる不利益です。栄転させて管理職につかせることも不利益と解される場合があります。
    国鉄の分割民営化後の新会社への採用拒否もこれに該当すると考えられます。同一会社に複数の組合が併存する場合に、一方の組合を不利に扱うことも差別的な不利益取扱いです。
  5. 使用者とは
    雇用契約の直接の契約者だけでなく、労働関係上の諸利益に影響力ないし支配力を及ぼしうる地位にある一切の者(法人の代表者だけでなく、支店長・部課長・親会社など)は、不当労働行為の使用者と考えられます。下請けや派遣労働者を受け入れている企業などの管理職も当然使用者に該当します。

2. まとめ

使用者が差別待遇の不当労働行為をした場合、例えば解雇無効、地位保全仮処分などの司法手続による救済を求めることができるのは当然です。あわせて労働委員会に救済を申立て、迅速に救済命令を出してもらう方法も一策です。

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