ひょうきん弁護士2 №19 行列のできる法律相談所 北村弁護士に勝つ③

通常の裁判ではテレビの法廷とは違って傍聴者はいない。民事の裁判では裁判長は誰も聞く人がいない法廷で判決を言い渡すことがよくある。ところがこの日めずらしく数十人の傍聴者がいた。

北村弁護士が裁判長に呼び出されて和解協議のために別室に行くと法廷に私だけが残った。

傍聴者が「あれは北村弁護士じゃない。本物を見られてよかった」などと言い出した。

そこで私が頼まれもしないのに「それでは法廷の座る位置について説明します、裁判長から向かって右側の席、皆さんの方から言えば左側の席には控訴した弁護士が着席します。裁判長から向かって左側の席、皆さんの方から言えば右側の席には控訴された弁護士が着席します。

従いまして、ここでは北村弁護士が負けて控訴した弁護士で、私が北村弁護士に勝った弁護士です。」


二回目の和解協議が始まった。最初に北村弁護士が呼ばれ、次に私が呼ばれた。
裁判長「前回北村弁護士から和解してもいいという回答がありましたが、提示された金額では到底、安部弁護士が合意するような金額ではなかったので、安部弁護士が合意するような和解案を考えてきて下さいと言っていたところ北村弁護士から和解案の提案がありました」。
「北村弁護士は何と言っているのですか」。
「故人は自殺したと考えるが、一審で敗訴しているので保険金の六割を支払うと言っています」。
「北村弁護士がそう言うだろうとは思っていました。六割では拒否です。妻と二人の幼子がいる男が、不倫相手と別れたぐらいで自殺するわけがない。又、車道を歩いていたのは酔っぱらっていたからです」。
「裁判所が六割と言っているわけではありません。北村弁護士が言っているのです。安部弁護士はいくらだったら応じるのですか」。
「私は自殺ではないと確信しています。自殺だと主張する北村弁護士には証拠がありません。満額に近い金額でなければ応じられません」。
「わかりました」。
また北村弁護士が裁判長に呼ばれた。長い間私は待たされた。やっと私が呼ばれた。
「北村弁護士は八割出すと言っています」。
「依頼者には和解では八割が限度でしょうといっています。ここまでくれば最終結論は依頼者が出します。依頼者が来ておりますので依頼者の意向を聞いてください」。
「これまで北村弁護士を説得してきましたが、八割出すと回答がありました。あなたが納得いかなければ裁判を続けて判決を出しますがいかがでしょうか」。
依頼人は「応じます」と答えた。長かった裁判は勝利で終わった。

小倉タイムス より転載

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