雇用契約の解約をめぐる諸問題

弁護士 川㟢 智紀
2026年4月執筆

はじめまして。4月から黒崎合同法律事務所に入所した、弁護士の川㟢智紀と申します。どうぞよろしくお願いします。

春になり、街で新社会人らしき人たちを見かけることが多くなりました。他方で、最近は「退職代行」という言葉を耳にすることも少なくありません。そこで今回は、雇用契約の解約、とりわけ内定辞退にまつわる事案を見ていきたいと思います。

採用内定は、一般的には始期付解約権留保付労働契約の成立と解されることが多いです。そして、期間の定めのない雇用契約において、労働者はいつでも解約の申し入れをすることができ、この場合雇用は解約申し入れの日から2週間を経過することによって終了します(民法627条1項)。この解約には、理由を要しないとされています。

さて、採用内定を受けた者が内定を辞退したところ、会社側が債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償を請求したという事案がありました。

これについて、裁判所は、本事案における内定が大学卒業を停止条件としているということから、この条件の成就が不可能となったり著しく困難となったりするような事情が発生した場合には、内定を受けた原告は信義則上少なくとも会社に対しその旨を速やかに報告して然るべき措置を講ずべき義務を負っていること、その一方で本事案の原告には民法上、いつでも労働契約を解約し得る地位が保障されていることから、内定辞退の申し入れが債務不履行又は不法行為を構成するには上記信義則違反の程度が一定のレベルに達していることが必要であって、内定辞退の申し入れが上記信義則上の義務に著しく違反する態様で行われた場合に限り、損害賠償責任を負うとしました。

そして、入社前のプレゼン研修における会社担当者の発言や、原告代理人が通知書を送付しており会社側も内定辞退という事態が起き得ることをそれなりに予期していたという点などから、本事案の内定辞退の申し入れは信義則上の義務に著しく違反する態様で行われたものであるとまではいえず、原告は債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償責任を負わないとしました。

このように、内定辞退一つを見ても、複雑な法的問題が絡んでいます。

最近は、退職代行についての報道に触れる機会も増えてきています。しかし、退職代行サービスの中には、非弁行為の疑いがあるものも含まれる場合があります。東京弁護士会が、「退職代行サービスと弁護士法違反」という記事をホームページで公開しており、参考になります。

内定辞退や退職など、雇用契約の解約は労働者の人生における大きな転換点となり得るのはもちろん、法的な問題が生じることも多いです。問題点を正しく把握し、適切な対応をとるためにも、お困りのことがありましたらぜひ弁護士にご相談ください。

ご依頼・ご相談について

初回30分無料

お電話やWebフォーム、LINEにてご予約ください。
WebフォームやLINEでは24時間お申し込みを受け付けております。
あたたかい心をもってお悩みをお伺いし、専門的な知識と経験をもとにお答えいたします。お悩みのある方は、どうぞお気軽にご相談ください。

お電話はこちらから

093-642-2868

平日(土・日・祝を除く)9時~18時

※「初回相談30分無料」は初めて当事務所にご相談の方に限ります。