ひょうきん弁護士2 №110 第一章 こんちゃんと僕 中の下

あれは政治学の試験の時、僕はどんな問題が出ても書く答えは決めていました。授業に一回も出ていないので、どんな問題が出ても教科書の最初のページを書くことに決めていたのです。

僕は一番に回答を書き終え、こんちゃんに「図書館で待っているから」と告げ、下駄の音高く講堂を出て行ったのです。それから待てど暮らせどこんちゃんは来ません。仕方がなく、こんちゃんの下宿を訪ねると、もう試験も終ったので八幡の実家に帰ったとのことです。早速八幡の実家に行ってみました。

「何で待っているのに来なかった」

「皆の見ている前で、大声で誘うから恥ずかしくてたまらなかった」

「それは配慮が足りなかった」

と謝り、僕の田舎の恋の浦に二人で行きました。一緒に歩いていると、こんちゃんは突然

「私、きれい」と聞きました。

僕は直ちに、にっこり笑って

「中の下」

と答えました。こんちゃんはまた、黙って歩き続けました。何だか気ずまりになって僕は

「僕と結婚しませんか」

と言い出しました。こんちゃんが

「どうして」

と聞くので

「僕は結婚したい。そして仕事をしたい。僕は二年間、福島に行く。結婚するのは弁護士になってからだが、今のうちに決めておきたい。愛はこれから二人がつくり上げていけばいい」

とM嬢に話したと同じことを言いました。

こんちゃんはしばらく考えて

「いいわ」

とその場で返事をしたのです。それから十八年、今でもこんちゃんは僕に聞きます。

「私、きれい」

僕は直ちに

「上の上」

と答えています。

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